相場上昇中なのに「査定額が低い」のはなぜ?ネットの売り出し価格に騙されないための売却戦略
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- コラム
「いま、中古マンションの相場が上がっています!」
ネットでそんな言葉を目にすれば、誰だって「我が家も高く売れるはず」と期待に胸を膨らませるものです。しかし、いざ不動産会社に査定を依頼してみると、期待を大きく下回る金額を提示され、がっかりした……というケースは少なくありません。
「相場は上がっているはずなのに、なぜ査定額が低いの?」
「ネットに出ている同じエリアの物件はもっと高いのに、なぜ?」
今回は、こうした疑問を紐解きながら、プロの視点から「査定額の真実」と「失敗しない売り出し戦略」を分かりやすく解説します。
「売り出し価格」と「査定額(成約予想価格)」は全くの別物
まず、最も重要な前提として、ネット上で見かける物件の価格は「売主の希望価格(売り出し価格)」であり、「実際に売れた価格(成約価格)」ではないという点を知っておく必要があります。
ネットで「同じエリアで高く出ている物件」がある場合、以下の2つの可能性が考えられます。
◆相場より高く売り出し中で、実は苦戦している(売れ残っている)
◆築年数が浅い、リフォーム済み、階数や眺望が良いなど、プラス条件が揃っている
不動産会社が提示する「査定額」は、過去3ヶ月〜半年程度の間に「実際にいくらで取引されたか(成約事例)」をベースに、3ヶ月程度で現実的に売却できると判断した価格です。
つまり、ネットの価格は「チャレンジ価格」、査定額は「現実的な着地予測」という違いがあります。
相場が上がっていても査定額が伸び悩む「3つの個別要因」
「エリア全体の相場」が上昇傾向にあっても、マンションは一戸一戸の個別要素が強く影響します。
「築年数・管理状態・周辺事例」には、以下のようなシビアな現実が含まれています。
① 築年数による減価(建物の寿命とローン審査)
エリア相場が5%上がっていても、ご自宅の築年数が経つことによる価値の下落(経年減価)がそれを上回っていれば、査定額は上がりにくくなります。また、築年数が古いと購入検討者が組める住宅ローンの期間が短くなるなど、買い手がつきにくくなる心理的ハードルも生まれます。
② 管理状態と「修繕積立金」の負担
マンションの価値は「管理を買え」と言われるほど重要です。
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過去の大規模修繕が適切に行われているか?
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修繕積立金が極端に不足していないか、または今後値上げの予定はないか? 買い手にとって「毎月の維持費(管理費・修繕積立金)が高い物件」は敬遠されがちなため、ここがマイナス評価になると査定額を下げざるを得ません。
③ 競合(ライバル)物件の存在
同じエリア、あるいは似たような条件の近隣マンションで「安く売り急いでいる物件」が一件でもあると、査定額は引っ張られます。買い手は必ず比較するため、ライバルより高く設定すると選ばれなくなってしまうからです。
「強気で売り出す」のはアリか、ナシか?
では、査定額を無視して、ご自身の希望する「強気の価格」で売り出すのは間違っているのでしょうか?
結論から言えば、時期を限定したチャレンジとして強気で売り出すのはアリですが、長期化は禁物です。
強気で売り出す場合のメリット・デメリット
☆メリット
運良く「そのエリア、そのマンションをどうしても買いたい」という熱狂的な買い手(ピンポイントな需要)が現れれば、高く売れる可能性があります。
★デメリット
市場に出してから2〜3ヶ月経っても売れない場合、ネット上で「売れ残り物件」というレッテルが貼られてしまいます。購入検討者から「何か問題があるのでは?」と不信感を持たれ、最終的には査定額よりもさらに値下げしないと売れなくなる、という最悪のシナリオもあり得ます。
もし強気でいくなら、「最初の1ヶ月だけこの価格で試し、反響がなければ適正価格に下げる」といった、明確な期限付きの戦略が必要です。
【要注意】あえて高い査定額を出してくる業者
最も警戒すべきは、「契約(媒介契約)を取りたいがために、売れもしない高い査定額を提示してくる不動産会社」です。
彼らは契約を結んだ後、数週間してから「反響がないので下げましょう」と段階的に値下げを要求してきます。
査定を比較する際は、「いくらと提示されたか」ではなく、「なぜその金額なのか、周辺の成約事例を何件見せてくれたか」という【根拠の誠実さ】で会社を選ぶようにしてください。
あなたの利益を一番に考えてくれるパートナー選びを
相場が高い時期だからこそ、高く売りたいと思うのは当然の心理です。しかし、不動産売却のゴールは「高く売り出すこと」ではなく、「最終的に納得のいく価格で安全に現金化すること」です。
現在の査定額に不満がある場合は、ただ価格を鵜呑みにするのではなく、以下のステップを踏んでみてください。
①他社にも査定を依頼し、データ(成約事例)を比較する
②「修繕状況」や「室内の綺麗さ(リフォーム歴)」など、我が家だけのプラス材料がないか担当者にアピールする
③媒介契約の縛りなどを視野に入れつつ、信頼できる「売主の味方」になってくれる不動産会社・担当者を選ぶ
客観的なデータに裏付けられた適正な戦略を立てることこそが、結果として最も高く、確実にご自宅を売却する近道となります。